モンゴル国立孤児院

モンゴル国立孤児院外観

設立年 1973年
施設 孤児幼稚園(2歳〜5歳)・定員120人
孤児院(6歳〜18歳)・定員40人
大学生寮(国立孤児院出身者18歳以上)・定員16人
養護数 孤児幼稚園74人、孤児院130人、大学生寮16人
職員数 孤児幼稚園32人、孤児院58人

*2014年3月現在

モンゴル国立孤児院とは、モンゴル唯一の国立の孤児院で、全国(ウランバートル9区、21県、308村)から子ども達を受け入れ、約270人を保護する国内最大規模の孤児院です。国立の施設であるため、職員の給与、子ども達の衣食住費、義務教育に関わる費用は国から拠出されています。2013年1月に公募で選ばれたボルマー所長の下、卒業後の子ども達の自立を目標を掲げています。

ユイマールは、モンゴル国立孤児院と連携し、子ども達の孤児院卒業後の自立を目的とし、音楽プログラム、子ども達へのメンタリング、孤児院職員向けチームビルディング、来日プログラムなどの支援を行いました。
(支援期間:2014年2月〜2016年3月)

支援内容

音楽プログラム
音楽プログラム

国内でトップクラスの音楽家を4名採用し、孤児院にて「踊り」「曲芸」「馬頭琴・ホーミー」「琴・ホーチャル」のクラスを開講しました。約60名の子ども達が自ら好きなクラスを選び、週2回はレッスンを受け、日々の練習に励みました。

子ども達へのメンタリング
子ども達へのメンタリング

メンタリング、コーチングを通して、子ども達一人一人のプロファイルをつくり、「子ども会議」によって、子ども達の自主性を引きだし、一体感をつくるサポートをしました。
また、高校生以上の子を対象として、進路決めの一助とするキャリアプログラム、奨学金や留学情報提供会も実施致しました。

孤児院職員のチームビルディング
先生達ブレスト

ボルマー所長をサポートする形で、孤児院の職員が同じ目標を持つことを目的にビジョンビルディングを、子どもの問題行動等を経営者層、現場の職員、音楽教師が一体となって考え、解決策を出す会議等を実施しました。

来日プログラム
来日メンバー

子ども達が日本へ赴き、コンサートを開催し、ホームステイを行う海外研修プログラムです。2014年に予定していた来日プログラムは中止となりましたが、他団体によって、ロシアやブリアート共和国に招へいされ、約20人の子ども達が海外コンサートに臨みました。

モンゴル国立孤児院独自の発展

モンゴル国立孤児院では、独自に活動を発展させ、下記の成果をあげるに至りました。

1. 子どもの諦め癖を努力癖へ
———2か国から海外コンサートに招待

ブリアート共和国にて

来日コンサート中止後も、先生の声がけにより子ども達は諦めずに音楽の特訓を続けました。先生方は「諦めなければ、チャンスは必ずめぐってくる。努力を続ければ、そのチャンスをつかむことが出来る」と子どもたちを奮い立たせました。
その結果、ロシアとブリヤート共和国の2カ国でコンサートに招待されたのです。コンサートには、来日予定メンバーだった16人に加えて、音楽プログラムを受講している4人が出演。ブリヤート共和国の孤児院の子ども達とも繋がりができ、友好孤児院としての関係を結んだとのことです。諦めずに練習を続けることで新しいチャンスを掴む体験をしました。子どもたちはモンゴルの大使館からも招待されコンサートを披露するなど、活躍の幅をモンゴル全土、海外へとひろげています。

———モンゴルのオーディション番組で決勝進出
アビアスラックモンゴル

ユイマールによる来日コンサート中止決定後、音楽プログラムを受けていた男の子達5人は、自分たちで馬頭琴バンドを組みました。そして、モンゴルのスター発掘オーディション「アビアスラックモンゴル」に応募・出場し、決勝まで駒を進めました。これまでモンゴル国立孤児院の中で、子ども達が自主的にバンドを結成した事例はありませんでした。子ども達が自ら新しい目標を立て、実行に移した初の事例となりました。残念ながら、オーディションで優勝は逃しましたが、テレビで演奏を披露するなど、目覚ましい活躍をみせています。

2.先生たちの変化、他へのひろがり
———モンゴル初の「孤児の自立」に関する論文と「子どもの自立ガイドブック」作成

自立に関する論文

ボルマー所長は、ユイマールとの2年間の協同を基に、モンゴルで初めての「孤児の自立」に関する論文を執筆、発表されました。所長になる前、孤児院卒業生に会えるだけ会ったところ、刑務所に入っている人、定職がないといった自立ができていない人が殆どだったといいます。その課題意識をもとに、ユイマールと共に自立支援プログラムを展開した結果、自立で大切なことは、子ども達が自分で夢を設定し努力する力、自己肯定感などの13項目ということが分かり、それを論文にまとめられました。更に、論文から派生して、孤児院職員向けの「子ども達の自立のためのガイドブック」を作り、モンゴル全土の孤児院に向けて自立へのノウハウをまとめました。

———子ども達の自主性を重んじる体制へ
国立孤児院女の子の部屋

当初、先生達は子ども達に対して、こと細かに指示を出す方法で指導を行っておりました。しかし、ユイマールの先生達向けワークショップ「子どもたちの自立のための指導方法」の後、子ども達の自主性に任せる指導方法に変化したそうです。
家事や孤児院での過ごし方について子ども達の自主性を重んじた結果、子ども達が自ら動くようになり、先生達の仕事の負担も減ったといいます。また、寄付をいただいた際にも、子ども委員会にその使途を決めてもらうなど、子ども達の意見を尊重するようになったそうです。

———意思決定の変化、孤児院の目標が変化
子ども達とブレスト

当初、孤児院では、所長が全ての意思決定を行い、トップダウンで先生たちにおろしていく体制でした。トップダウン方式の時には、先生方が受け身になり、所長が1人1人を呼んで事細かに指示をする必要がありました。
子ども達を自立へ導くためには、職員全員が同じ目標を持ち、自主的に働くことが必要だと、ユイマールの支援により、職員会議を主催し、経営者層と職員全員によって、孤児院の経営を考え、目標を設定しなおしました。結果、孤児院の先生たちの目標が「子ども達の自立」に変わりました。
孤児院では、更に、独自で職員会議を開き、目標を細分化し、先生が親の代わりを務められるような体制にするべく、先生たちが自主的に動き始めているそうです。

3.モンゴル政府からの自立支援プログラムへの助成が決定
———2016年度より音楽教師を倍の8人に

草原で演奏

子ども達の目覚ましい活躍と、自立支援の重要性から、モンゴル政府が国立孤児院の自立支援プログラムを支援することが決定しました。ユイマールが雇っていた4人の音楽教師の給与も全額助成されることになりました。更に、音楽プログラムを充実させるべく、洋楽器のクラスも設けることになり、新たに4人の音楽教師を孤児院で雇用できることになりました。

ボルマー所長からのメッセージ

ボルマー所長と照屋

日本の皆さん2年間支援をしてくださって、本当にありがとうございました。一緒に活動したことでたくさんのことを学び、多くのいい結果が出ました。これを続けて、よりいい結果を出したいです。  
昔は、この孤児院はどこにいっても認めてもらえませんでした。私がこの孤児院の所長になった当時、使える楽器は2つしかなく、それも大変古いものでした。その楽器を新しくし、音楽の先生も雇ってもらいました。今では、この孤児院に誰が来ても自信を持ってコンサートを見せることができます。

ユイマールを通じて、孤児院の人全員が、目標を掲げてみんなでそれに向かって努力すれば、少しずつでも達成できるということを学びました。今後は所長として、それを皆に広め、続けていくつもりです。
ユイマールの支援活動においては、特に子どもの会議や、先生向けに勉強会を行ってくれたことが、孤児院の役に立ちました。他の支援団体は、物を渡したり、孤児院に数回来てそれで終わりですが、ユイマールはその後の子ども達の変化を大切にしてくれました。音楽プログラムに関しても、楽器を買うことから子ども達の変化に至るまで、実際にモンゴルで活動し、子ども達の様子を確かめに来てくれましたし、そのように0から終わりまで全てやってくれる団体は他にはありませんでした。毎回ユイマールが来る度に、何時間も会議をしましたし、私は全てをメモしました。そこで学んだノウハウを今は孤児院内部で発展・実行しています。

今、私がしなければならないことは、これまでユイマールがしてきた活動を基に、これから私達がどう発展させていくべきかを考え、子ども達や職員にきちんと伝えることだと思っています。オーディション番組に出場する子ども達は、「どうしても優勝したい!」という思いがあって練習しています。ただコンサートをする為に音楽を学ぶのではなくて、上達することで各地に招待され、自分達のパフォーマンスでお金をもらえること、それが自分の自信に繋がることが分かりました。ですから彼らは前以上に努力ができています。
5人の馬頭琴バンドも現在、あちこちに招待されています。これも、一緒にやった成功体験です。この発展は、ユイマールがいなければ無かったものです。楽器を購入し、先生を雇い、子ども達と先生たちの考えを前向きにするよう勉強会を開催し、今があるのです。ユイマールは種を撒いてくれました。支援をしてくださって、本当にありがとうございました。将来、また一緒にやっていける時代が来ると信じています。

———今後の抱負を教えてください。
ユイマールと活動したことで、孤児の自立支援の重要さに改めて気づかされました。この施設は、規模的にも、歴史的にもモンゴルで一番大きな施設で、ここで成果を出すことにより、他の施設や団体が学びに来てくれることもあります。今は、自立に向けたマニュアル作りを始めている最中です。すぐに大きいことを始めるのは難しいので、徐々に小さいものから大きくしていきます。大きい規模ではできないけど、まずはこの施設から始めて、今後はモンゴル規模での自立支援をやっていきたいと思っています。

———日本の皆さまへ
日本の皆さま、ありがとうございます。皆さまのような素敵な支援者の方がたくさんいらっしゃることはとてもありがたいことだと思います。遠い日本から、異国のモンゴルまで本当にありがとうございます。ここの子ども達は両親がいない子です。そういう子ども達のために寄付してくださってありがとうございます。皆様のご寄付のお陰で、子ども達は夢を持ち努力し続けることを学びました。この先、支援者の皆様に会うことができた際には、直接感謝の気持ちを伝えたいと思っています。

モンゴル国立孤児院 連絡先

モンゴルに行かれる機会がある方、今後もモンゴルの孤児院の支援を継続してくださる方がいらっしゃいましたら、下記へ直接連絡していただき、皆さまとモンゴルのご縁を少しでも継続していただけけると嬉しく存じます。

連絡先: Burmaa Baidorj(ボルマー所長)
使用可能言語: 英語、モンゴル語
Email: Burma_11(at)yahoo.com ※(at)を@にご変換ください。