遅ればせながら、明けましておめでとうございます。
代表の照屋朋子です。2011年初めてのブログ投稿です。
北海道から沖縄まで、全国の児童養護施設にタイガーマスクを名乗る者がランドセル、文具などをプレゼント、というニュースについて。
各県の交番や市役所に、タイガーマスク姿の男性が現れ、新品の品を置いていくそうです。
ある施設では、ニュースを見ていた子ども達が「うちの施設にも来てくれないかな」と話していたところ、ランドセルが届けられ「いい子にしていたからプレゼントを届けてくれた」と子ども達が喜びの声をあげた所もあったようです。タイガーマスクは、夢を届けるサンタさんのような存在ですね。
この現象は「タイガーマスク運動」と呼ばれているそうですが、私が素晴らしいと感じた点は3点です。
・誰もが知っているヒーロー(?)に誰でもなれる点
これが、タイガーマスクではなく、「照屋朋子」であれば、ニュースになりもしなかったでしょうし、全国的なムーブメントには発展しなかったと思われます。
・プレゼントが新品である点
マンホールチルドレン宛にモノの寄付をしたいという方で新品をくださる方は残念ながら滅多にいません。ですが、モンゴルの子どもも、日本の児童養護施設の子ども達も感情を持った人間ですので、やはり新しいモノをもらったら嬉しくなると思います。新品のプレゼントは子どもを一人の人間として尊重している証のように感じました。
・児童養護施設の話題が拡がった点
タイガーマスク運動をきっかけに、ニュースや新聞で児童養護施設の事が取り上げられるようになりました。日本の児童養護政策は、モンゴルと同じく「入口作って、出口作らず」の状態であるそうで、18歳の退所後のケア不足、金銭面から進学のチャンスに恵まれない、など問題を抱えているようです。他にも、施設の職員不足、子ども達の学習不振など、改善すべき問題が山積みのようです。「タイガーマスク運動」の報道が、今まで関心のなかった方に児童養護施設の現状を知って頂く良いきっかけになったと思います。
全国のタイガーマスクさん達は、新年早々、何万円も使い、お店で子どもの笑顔を思い浮かべて商品を購入し、送り届けました。中には「年金生活者のタイガーマスク」さんもいたそうです。金銭的な余裕がなくても心のある方は寄付をするもんなんだなぁと改めて思いました。
タイガーマスク運動に感動する一方で、送られた物は既に施設にあるものではないか、施設側が本当に必要としているものなのか、と疑問にも思いました。日本の児童養護施設にはモノの寄付は溢れていて使いきれないくらいだ、と以前聞いたことを思い出したのです。
日本の児童養護施設の現状について詳しい方に話を伺ったところ、「ランドセルその他子どもの進学に必要なモノを買うお金は、措置費に含まれていてそこから支払われると思います。」とのお答えを頂きました。
ということは、タイガーマスクさんが届けずとも、施設から子ども達は文具やランドセルを買ってもらえる、もしくは既に買ってあるかもしれないという事です。仮にランドセルが10個余ってしまった場合、置いておくにも場所が必要ですし、他の施設に寄贈するにも、郵送など手間もお金もかかってしまいます。一方的に送られると施設側は拒否出来ないですし、嬉しいと感謝する一方で、困ってしまった施設もあったんじゃないかと察します。
せめて、一本電話して「施設に足りてないものとその数量はいくつですか?」と聞けばよりよかったのにと残念な気もします。
では、何を送れば喜ばれたのでしょうか。
児童養護施設支援をされているNPOの方曰く「基本的にモノは十分足りていますが、今の時期なら(児童養護施設を卒業する退所者向けに)一人暮らしに必要な家電やタオル、寝具でしょうか。但し、今春退所する人がいるかは事前に確認を」との事です。
タイガーマスクさんの件、モンゴルの孤児院支援にも全く同じ事がいえます。施設が何を必要としているのか耳を傾けないといけません。「あれをやったら良いのじゃないか」「これをプレゼントして子ども達を喜ばせよう」と、ついつい私は一人で盛り上がってしまうのですが、そんな時は一呼吸置いて、施設の先生方の意見を聞くようにしています。
ゆいまーるが連携しているモンゴル孤児院「太陽の子ども達」では、エルデネ園長がモノを貰いすぎないように方針立てています。モノが溢れると、今までは破れても縫って使っていたものをすぐ捨てて新しいモノを使うようになるからです。孤児院卒院後、子ども達は頼れる身内がいない中、自活していかねばなりません。卒業後の事を考えると、若いうちの贅沢はよくない、と考えているのです。
本来、「寄付」「贈り物」って、とても素敵な事です。誰かが喜ぶ顔を思い浮かべて、プレゼントする。相手も喜ぶし、自分も嬉しい。こんな素敵な事が全世界でおきれば世界平和も夢じゃないはずです。人に喜んでもらうためには、立ち止まって想像力を働かせたり、相手に聞いてみることも必要なんだと思います。
かく言う私も、児童養護施設への贈り物をする時に思慮が足りなかった事がありました。これから「タイガーマスク」さんになろうとしている方がいらっしゃれば参考にして頂ければと思います。
昨年の事ですが、モンゴル孤児院来日コンサートを日本の児童養護施設の子ども達に観てもらったら「お互いに元気をもらえるのではないか」と、無料でチケットを配ろうと考えました。 そこで、児童養護施設を支援している団体さんにお話をもっていきました。
「子ども達がコンサートホールに来るためには、往復の交通費がかかります。また、職員さんの付き添いが必要になりますが、1人の職員さんが施設から抜けるという事は、代わりの職員さんに入って頂かないといけなくなります。児童養護施設ではただでさえ職員が足りていない状況でシフトを組んでいるので、子どもの外出に付き添う場合は、休日を返上して勤務にあたって頂くことになります。」
子ども達の外出は施設側にとって非常な負担がかかることを知ったのです。
更に聞くところによると、コンサート招待チケットなど送られてくることは多々あるようで、貰っても行けない事が殆どだそうです。私は、ただチケットを寄付して満足しそうになっていたので、想像力が足りなかったなと反省しました。次回からは、事前に施設と連絡をとって丁寧に事を進めようと思いました。
いやはや。。。モノの寄付って難しいですね。
でも、この様な議論が生まれることによって、寄付の在り方について学ぶ事が出来るので、全国のタイガーマスクさんに感謝感謝です。
最後に、タイガーマスク運動について非常に勉強になる意見が書かれたブログをご紹介致します。
「タイガーマスク」を児童福祉政策改善のチャンスに
保坂展人のどこどこ日記
(勘違いを招くと良くないので。私個人もNGOゆいまーるハミングバーズも保坂氏の所属政党を支持しているわけではありません。)
タイガーマスク運動の意味するもの
病児保育のNPO法人フローレンス代表駒崎弘樹のblog
多くの方が児童養護施設の現状に目を向け、更にはモンゴル、アジア、世界の子どもを取り巻く現状にも関心を持ってくださることを願っています。
それでは、皆様、本年もどうぞ宜しくお願い致します!
代表 照屋朋子